何をするにしても、初めての経験は不安を抱くものです。
確定申告も、該当する人によっては不安になりますよね。
今回は出来るだけ簡単に、確定申告についてまとめていきたいと思います。
なぜ確定申告が必要なのか、という根本の部分から解説していきます。
長文の記事ですので、急ぎでチャチャっと確認したい方は「ざっくりまとめ」を読んで頂ければ概要を掴めると思います。
税金に関する前提知識
確定申告をするにあたって、税金について知っておくべきことが3つあります。
① 憲法について
憲法とは、国全体のルールのことで、国家権力(政府)に対して制限をかけるものです。
その憲法の範囲内で、法律が国会において定められる仕組みなっています。
- 憲法は国の規則
- 法律は国民の規則
② 納税の義務について
日本国憲法第30条において、納税は義務付けられています。
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
訳すると「国民は法律で定められているように納税してね」という事です。
つまり、ちゃんと納税しないと法律違反となるわけです。
③ なぜ納税するのか
日本という国が存続していくためには、行政が管理をし、国民のルールを定めなくてはなりません。
安心して暮らせるようにするため、公共施設や警察なども必要です。
行政も人間なので、タダ働きはできません。
そこで、国民は日本という国家の主権者として財政を保つ責任があると考えられており、納税義務が導き出されました。
ざっくりまとめ
- 憲法は国のルール! 法律は国民のルール!
- 憲法で「法律に従って、税金をちゃんと納めようね」と定められている!
- 国民として国の財政を保つ責任があるので、税金は納めなければならない!
これらを踏まえた上で、きちんと理解していきましょう。
確定申告とは
大雑把にまとめると、1年間の所得を自分自身で計算し、申告する、そして納税までを行うことを言います。
そして、確定申告では所得税の申告を行います。
収入における納税の義務は「所得税」と「住民税」です。
原則としてどちらの確定申告も必要ですが、所得税の確定申告をした段階で、各地方自治体が住民税の計算をするため、住民税の確定申告は必要ないです。
※しかし、この住民税が原因で副業が会社にバレてしまう危険性があります。これについてはこちらで詳しく触れていきます。
所得税とは
以下の順に解説します。
- 所得について
- 所得税について
所得とは
所得とは、個人の1年間の収入から、経費や控除を引いた金額のことです。
●経費は、売り上げにつながる費用のことです。
一部、具体例を挙げますと、、
- 人件費(給料、アルバイトを雇った時など)
- 消耗品費(文具や机など10万円以下のもの)
- 旅費交通費(出張や営業の際の交通費)
●控除とは、課税額から一定の金額を差し引くことです。
つまり、税金が掛かる金額が減るので納税額も減るということです。
納税したお金が返ってくるわけではなく、納める金額が減るということですので注意しましょう。
控除には様々な種類があります。
自分が該当する控除がないか確認してみましょう。
- 給与所得控除
- 社会保険料控除
- 医療費控除
所得税とは
その名の通り「所得に課税される税金」のことです。
その所得の多さに応じた税率を掛けて、算出した金額に税金がかかります。
所得税率は7段階で分かれており、5%~45%の振り幅です。
(参考:国税庁 所得税の税率より)
所得税の納税の仕方には、働き方によって違いがあります。
- 会社員の場合
- 毎月の給料から「源泉徴収」によって徴収されています。
- 年間の所得から概算で徴収しているので、年末に正しい所得税額を計算し、過不足をなくすのが年末調整です。
- 会社以外の収入、副業・フリーランスの場合
- 毎年年度末の確定申告で、年間の所得から所得税を納税します。
- 年末調整はないため、自分で計算しなければなりません。
- 企業から報酬を得た場合、源泉徴収されていることがあり、多めに納税していることもあります。
それには、なかなか気付けないので確定申告し、超過納税分を返還してもらいましょう。
ざっくりまとめ
- 確定申告は、自分で所得を計算、申告、納税まで行うこと!
- 所得は、収入から費用や控除を差し引いた金額のこと!
- 所得に対して、所得税が課税される!
確定申告しないとどうなる?
確定申告をしない、ということは所得税の申告と納税をしないということになります。
そうすると、やはり良くないことも付きまとうものです。
以下の順で解説していきます。
- ペナルティが課せられる
- 社会的信用を失う
ペナルティが課せられる
- 無申告加算税:確定申告をしなかった場合に課せられる。
- 延滞税:確定申告が申告期間よりも遅れた場合に課せられる。
- 青色申告特別控除の減額:申告期間を1日でも過ぎると青色申告控除65万円が10万円に減額される。
- 過少申告加算税:確定申告をしても、本来の所得を偽り納税逃れをすると課せられる。
過失であった場合、申告の誤りとして修正申告すれば問題ないが、納付期限日を過ぎると延滞税が課せられるので要注意。
社会的信用を失う
確定申告をしないと、収入を証明できる公的なものがない状態に陥ります。
銀行などから融資を受ける場合、(基本的に)3年以上の決算書と納税証明書が必要になります。
銀行は、決算書で安定した収入があるか(返済できる信用があるか)を判定し、
納税証明書でちゃんと納税しているかどうかを確認します。
納税証明書は納税した後に税務署から発行される証明書です。
この納税証明書がないということは、収入を証明できる公的なものがないことに等しいのです。
これによって、賃貸契約や自動車の購入時のローン審査が通らないこともあります。
ざっくりまとめ
- きちんと確定申告(納税)をしないと、追加徴収を受けたり、社会的信用を失う!
遅れてもいいのでちゃんと納税すること!
確定申告をすると副業が会社にバレないのか
会社勤めで副業の所得がある方が、一番不安になる要素の一つですね。
会社によっては就業規則のなかに「副業禁止」の文字があるかもしれません。
実は「確定申告をすると副業が会社にバレる」のは半分合っていて半分間違いなんです。
年末調整をすると、、、
- 会社が各従業員の年収情報を各地方自治体に報告する
- 地方自治体がその報告をもとに、住民税を計算し、6月までに会社に納付書を送る
この間に確定申告をしてしまうと、自治体は会社の年収分と副業分を合わせた住民税を会社に通知します。
そうすると会社としては「あれ?ちょっと住民税高過ぎない?」と異変を感じるわけです。
そうして副業をしていることがバレてしまうケースが大半です。
副業が会社にバレないようにするために
副業でよっぽど大きい金額を所得として計上しない限り、違和感を持たれることはありませんし、対策方法もあります。
それは確定申告書に「住民税の納付書を会社分と副業分で分けて発行する」欄にチェックを入れることです。
そうすることで理論上、副業分の住民税が分けられたことになります。
しかし役所に見落とされ、会社に通知されることもあります。
確実なのは、先ほどの記入欄にチェックを入れて、住んでいる自治体の役所に電話して必ず分けて発行するようお願いすることです。
ざっくりまとめ
- 会社に副業がバレてしまう原因は、住民税の金額!
別に副業をやっていると直接的には分からない! - 確定申告する時、「会社の給与と副業分の収入を分けて」住民税の納付を行えばOK!
確定申告の具体的な方法
「具体的」と行っても、簡単に概要に触れていきます。
確定申告の種類
確定申告の方法は3種類あり、好きな方法を選ぶことができます。
主な違いは、「届け出の有無」「控除額」「帳簿の付け方」の3つです。
白色申告 | 青色申告10万円控除 | 青色申告65万円控除 | |
---|---|---|---|
税務署への届け出 | なし | あり | あり |
控除 | なし | 10万円 | 65万円 |
帳簿の付け方 | 簡易(単式)簿記 | 簡易(単式)簿記 | 複式簿記 |
帳簿とは、日々の取引(売り上げや仕入れなど)を記録しておくためのものです。
その帳簿には、「単式簿記」と「複式簿記」の2つの書き方がありますが、会計ソフトなどを使えば簡単に複式簿記で記帳することができます。
必要なもの
確定申告をする前準備として必要なものは以下の2点です。
- 開業届け
- 青色申告承認申請書
開業の2ヶ月以内か、その年の3月15日までに、以上の2つを提出しなければなりません。
この期限が過ぎても届出はできますが、青色申告ができるのは翌年以降になってしまうため注意が必要です。
そして長期にわたる重要書類の保管が必要となってきます。
- 帳簿(7年間)
- 決算書類(7年間)
- 領収書、請求書など(7年間)
- 見積、注文、納品書など(5年間)
※青色申告の場合を記載。ものによっては年数が異なるため、調べてみましょう!
これらは確定申告の際、提出は必要ないですが
もし税務署に保管していないことがバレてしまうと、青色申告の承認取り消しを受け、追徴課税(罰金のようなもの)を支払わなければならないことになります。
領収書の書類管理が負担になる個人事業主のために、税制改革が行われました。
スキャナーを使った電子保存も、きちんと申請を行えば書類管理のコストを軽減することができます。
ざっくりまとめ
- 確定申告には3種類あって、難しい帳簿ほど控除額が高い!
※だけど、会計ソフトを利用すれば簡単にできる! - 確定申告前に「開業届け」と「青色申告承認申請書」が必要!
※青色申告承認申請書はなくても確定申告できるけど、青色申告が出来なくなるから控除額が減って損してしまう!要注意!
確定申告で提出するもの
申告時に必要になるのは、以下の3点です。
●青色申告決算書とは、日々の帳簿記録の結果を決算書の形式で記載する書類のことです。
青色申告決算書は、損益計算書1枚、損益の内訳記入書類2枚、貸借対照表1枚の計4枚(と、控え書類)で構成されています。
(※青色申告10万円控除の場合は、貸借対照表の記入は不要)
●確定申告書とは、所得や控除の申告内容を記載する書類のことです。
確定申告書には「A」と「B」の2種類あります。
違いは記入項目の数です。
- 確定申告書A…所得が給与所得などのみの会社員やアルバイト向けの確定申告書です。
比較的記入項目が少なく簡易的なものです。 - 確定申告書B…事業所得、不動産所得など個人事業主向けの確定申告書です。
記入欄がAよりも多く、幅広くカバーしています。
●控除証明書
保険料の支払い、年金の納付などを証明する書類です。
生命保険や地震保険などに加入している場合、控除証明書が郵送されます。
●源泉徴収票
2019年4月から、源泉徴収票の保管・提出が不必要になりました。
これにより手間とコストが軽減されましたが、2点注意があります。
- 源泉徴収票の「所得控除合計額」を記入する必要があるため、結局必要になる。
- オンライン申請ではなく、税務署で直接申告する場合に必要になる。
以上のことに気をつけましょう。
ざっくりまとめ
- 確定申告で必要な書類は「青色申告決算書」、「確定申告書」、「控除証明書」、「源泉徴収票」!
まとめ
こうして一通り見てみると、意外と確定申告は難しいものではないことが分かったのではないでしょうか。
実際に記入する方法や、何が経費として計上できるのかなど、具体的な方法は随時更新していきたいと思います。
もしまた不安になることがあったら、「ざっくりまとめ」を見て思い出してみてください!